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今週のインプット


いやあ、最近、ますますこのブログ、書きにくくなりました。
どうしてかと言うと、クライアントさんの大半がこのブログの読者。
このブログに書く基準は以下のようにしています。

(1)クライアントさんとの秘密保持契約または条項の中で
   担当をしていることも内緒にしてくれ、との条項が
   あるときは、やっていることすら書きません。
(2)秘密保持契約または条項があり、内容が秘匿性ある場合は、
   極めてゆるく書いたり、あえて業種を変えて書きます。
(3)秘密保持契約または条項がない場合は、推測できないように
   気をつかいますが、ある程度、書き込みます。


最近、わからないように書いているつもりでも
関係者にはわかってしまうので、それを嫌い、
前述の(1)の契約パターンを
選択されるクライアントさまが増えました。
つまり、どんどん書くことが狭められている状態。
うー、苦しい・・・。


インプットとかセミナー報告、協力会社さんとの
やりとりなどが中心になってしまいそうですね。
それだけだと正直、つまらないんですよね。
書いている本人も消化不良で・・。


ということで、早速、セミナー報告です。
12月7日に開催された日経新聞主催
「金融リテール戦略」。2日間にわたるセミナー。
うちのメンバーが交代で出席しました。
まわりはみんな白いワイシャツ・スーツ姿の金融マン。
当社は浮きまくっていたそうです。

その中でも金融エンジニアグループ中林さんの講演を
まずは最初に報告します。

金融系で分析担当していたなら誰でもご存知でしょう。
FEG(フェグ)さんと呼んだ方がとおりがいいかも。
私も事業会社時代にここ、使っておりました。
レベルの高い、良い集団ですよ。


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顧客情報の活用による銀行リテール・ビジネスの高収益化
ニイウス金融エンジニアリング・グループ 代表取締役CEO
中林三平氏


2005年度の地銀の銀行別貸出金利回り
 スルガ銀行が3.35%と突出。他行は1%台後半~2%程度が中心。
 高くても2%台中盤。
 スルガ銀行は個人融資比率が高い(70%超)。
 他行の多くは10%台後半~40%台中盤に分布しているが、
 個人融資比率と貸出金利回りの相関性は認められない

◎単純に個人融資を増やすのではなく、“適切な商品を、適切な顧客に、
 適切なチャネルにより、適切な金利水準で提供していくこと”が必要

◎銀行が販売できる商品が拡大している中で、
 個人顧客は手数料収入などを含めた収益源としての
 存在感を増している。
 数が多いので、いかに無駄なコストをかけずに効率的に
 取り込んでゆくかがポイント


ロングテール現象
銀行におけるロングテール現象
 ●純粋個人顧客における流動性預金月平残の顧客数分布
   ・・・ 100万円未満の顧客が82%
 ●ローン推定貸倒率の顧客分布 ・・・ ほとんどは低リスク層に分布
  →ロングテールのゾーンにいる顧客
 ●流動性預金に大きな残高を放置している顧客のニーズを推定
   Ø決済性資金が必要?
   Ø運用先が見つからない?探すのが面倒?
 ●ハイリスクの顧客のリスクプロファイルを、
   例えば取引パターンから推定
   Ø否認/リスクベースのプライシングで


銀行が保有する顧客の取引履歴の価値
 驚くほど多くの金融ニーズやリスク・シグナルを見出すことができる
 給与振込(収入水準→運用ニーズ、ローンニーズ)
 公共料金支払額(支出水準→家族構成推測)
 入金額と平残(家計の安定性)
 仕向け送金(時々高額→有価証券取引?、定期定額→ローン返済?)
 アンケートを行わなくても、鮮度・正確性・網羅性の面で
 最高の顧客情報を得られる



1. 顧客情報+IT
データの活用
かつて: 顧客一律・規格型商品 → マス・マーケティング
現在: データ分析 → 顧客対応型商品 → ダイレクト・マーケティング

ローンのDMによる推進
簡単な経験則で顧客を抽出して送付したDMの反応率
 = 概ね1%以下
慎重な分析に基づき抽出して送付したDMの反応率
 = 3%以上も困難ではない(最大8%という例も)
しかし、それでもDMによる顧客獲得コストはそれほど
小さなものではない(反応率*承認率)


2. 顧客情報+IT+チャネル
同一の顧客に対して複数回DMを発送した場合に、
2回目でも1回目とほぼ同水準の反応率が得られる
 → 仮説:銀行からのDMは、必要なときに到着することができれば
    顧客の反応を引き出すことができる
l銀行からのメッセージを、継続的にかつ低コストで
 顧客に伝えることのできるチャネルは?
  ①ATM
  ②ネットバンキング
    両チャネルとも、顧客を特定でき、個別にカスタマイズされた
    メッセージを発信可能

ATMでのローン販売
lATM占有時間が長くならないように、ローン申し込みだけを
  行ってもらう形態(申込書送付) → 意味のある反応なし
lATM上で契約まで行う形態を開発
  •与信供与可能な顧客を選別する「事前与信モデル」構築し、
    これによって選別された顧客だけをターゲットに
  •顧客が提出する情報を極力少なく(ゼロに)し、
    2分程度の操作時間で契約完了するフロー
  •属性は不明のまま、顧客の承認を取れないので外信情報も
    利用しない
  •各種のコンプライアンス規定を完全に充足
  (↑少なくとも、現在の時点では。今後はこの形態は
    ダメになるのでは???)
◎顧客にも営業店にも負担をかけずにコンスタントに契約が伸び、
  リスクも妥当なレベルにコントロールされている


まとめ - リテール高収益化への道筋
キーワード
◎顧客情報:”Management by Fact, Management by Data”
◎IT技術:MCIF(Marketing Customer Information File=
  マーケティング用の顧客情報データベース)の構築と
  適切な分析技術による活用
◎チャネル:低コスト、継続的な顧客との接触チャネルを探索


高収益化を実現するための方策
 ◎リスクとリターンのトレードオフ
 ◎マス・マーケティングではなく、ダイレクト・マーケティング
 ◎インハウスとアウトソーシングの使い分け

前提となる重要な要素
 リテールが銀行収益を支える大きな柱であることの
 理解に基づく行内体制の充実



クリスマスバージョンパートⅡです。
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